近年の事故物件や空き家、ゴミ屋敷の増加状況について

近年、事故物件や空き家、ゴミ屋敷などのいわゆる訳あり物件が増加しています。日本社会の高齢化が進行すると共に、今後もこのような状況は続いていくと考えられています。この記事では、このような物件の増加状況についてお話ししていきます。

近年、空き家の増加は深刻な社会問題

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管理が放棄された、または適切に管理されていない空き家が近年、増加しており社会問題化しています。これらの空き家は、地域の防災や防犯などの面で市民生活に与える影響も大きいことから、日本政府は平成27年に「空家等対策の推進に関する特別法」を施行。管理が適切に行われていない空き家を「特定空家等」に定めることで、自治体は特定空家等の所有者に対し、正しく管理するよう、適切な措置をとることが可能になりました。自治体には、適切な措置がとられなかった場合、強制代執行をする権利も認められています。このような状況になると、オーナーには撤去などの費用が請求されることになります。

空き家はこれからも増え続ける

今後、日本の高齢化はますます進み、2025年には、日本の人口の3分の1が65歳以上になることが予想されています。少子高齢化社会という未来には、孤独死のように寂しく死を迎える方が増え、それと同時に空き家や事故物件などが増加していきます。

ゴミ屋敷もリスクの一つ

現代社会における無視できないリスクがゴミ屋敷です。住居スペース、庭、玄関など、すべての場所にゴミが積み上げられ、その一部は道路などの公共スペースや、他人の敷地にまであふれかえっています。異臭を放つゴミ屋敷は、地域住民の安全を脅かすリスクであり、早急な対策が求められていますが、現在のところ行政側の対応も住民の不満を招く要因の一つであることも事実です。ゴミ屋敷は、孤独死などが絡み事故物件化するリスクもはらむ、現代の病ともいえる現象なのです。ただ、行政側の対応は変わりつつあり、今後は減少に向かうのではと考えられています。
しかし、まだまだ安心はできません。現在、結婚しない人たちが増えています。この減少は少子化の産物でもあります。この結婚しない人たちの多くが一人っ子であり、今後もこの傾向は続くものと考えられます。ここで心配されるのが、外側からはわからないゴミ屋敷、つまりゴミ部屋です。単身者の中には、社会からの孤立を選び、外に出たがらない人間もいて、そのような単身者の部屋が、まるでゴミ屋敷のごとくゴミの積み上げられた部屋へと変貌します。こうなると周囲に住む人は、ネズミやゴキブリの発生、異臭などに悩まされるようになります。火事など防災上の危険も増すため、生活するうえでの大きなリスクとなります。ゴミ屋敷同様、ゴミ部屋の入居者が高齢化することにより、孤独死のリスクも増すことでしょう。

1年間に事故物件が発生する数

「事故物件が発生」というと、何かおかしな響きに聞こえるかもしれません。しかし、日本では現実として、年間に多くの事故物件が発生しています。これは即ち、人の死が絡むなんらかの事故が物件内外で発生していることを意味します。その数は約15,000。事故物件は、主に殺人事件や自殺、事故死などが室内や共用部分において発生した心理的瑕疵物件です。購入や賃貸を考える人たちの心理に影響する可能性のある事象が発生した物件で、物件のオーナーには心理的瑕疵を説明する責任があります。事故物件になる要因の多くは自殺ですが、警視庁では「自殺場所別の自殺者数」という統計を発表しています。その結果によると、全自殺数の半数以上は「自宅」にて発生しています。毎年3万人が自殺するともいわれる日本では、今後も年に10,000以上の事故物件が発生していく可能性があります。

孤独死の発生件数

一人暮らしの方で、なんらかの原因でひっそりと亡くなっていく人の数は、近年、横ばい状態。しかし2010年以降、毎年2,000人以上の方が孤独死しています。年齢別に見ると65歳から70歳がトップ、続いて70歳から75歳となっています。日本の平均寿命を考えると、意外な結果かもしれませんが、これが現実なのです。

都市再生機構の取り組み

年間10,000以上という数で増え続ける事故物件。高齢の独居老人が多数入居する団地では、事故物件の増加は、黙ってみているわけにはいかないほど大きな課題です。都市再生機構(UR都市機構)では現在、居住者が室内で亡くなった物件に関しては「特別募集住宅」の名称で入居者募集を行っています。
また近年は、インターネットの不動産検索サイトでも事故物件を紹介するサイトは増えてきました。「心理的瑕疵あり」などと表示されている物件です。
都市再生機構にしても、不動産検索サイトにしても、これから事故物件が増え続けていくということを考えると、必要な取り組みだと言わざるを得ません。増え続ける事故物件をすべて取り壊すということは現実的ではありません。すでに存在する不動産をスムーズに流通させて活用することは、資源が限られる近い将来を見据えても重要なことだといえます。

空き家を正しく管理することで訳あり物件化を防ぐ

事故物件は今後も増え続けていくことが確実視されています。しかし、ゴミ屋敷や訳あり物件を増やさない努力はできます。現在、空き家を保有している方は、地域の安全を守るために、適切に管理しましょう。

「特定空家等」に指定されることを防ぐ

「特定空家等」に指定されてしまうと、固定資産税の優遇措置を受けることはできなくなり、自治体から適切な措置を求められることになります。これを防ぐため、定期的に老朽化を防ぐ修繕作業や点検を行いましょう。自身でできない場合でも、作業を代行してくれるサービスがあります。 また、空き家が発生してしまう大きな原因として、実は「相続問題」が挙げられます。誰が管理するのかはっきりしないため、建築物が放置され傷んでいくのです。近い将来、相続が予期されるようなら、早めに家族で話し合っておくことが大切です。

空き家は活用、もしくは流通

人の住んでいない家は、いくら定期的に手を入れたとしても傷みが早くなります。そのため、空き家は活用することが大切です。もっともかんたんなのは「賃貸」です。不動産業者に依頼して物件を管理、入居者を見つけてもらいます。もちろん、ご自身で管理できるようであればそれでも構いません。必要に応じて内装や外装工事を考えましょう。
また、売却も一つの方法です。買取専門業者に査定してもらうか、不動産業者に仲介してもらうのが一般的です。空き家は、回収して販売することで所得税を軽減できる場合があります。
さらに、空き家を解体することも一つの選択肢です。すでに築年数が経過し、老朽化が目立つ物件であれば、解体のあと新築、もしくは更地にして駐車場として活用することができます。

不動産は適切に管理

少子高齢化が進行することにより、空き家の数はこれからも増えていくことが予想されます。放置された空き家は傷みが早く、地域の危険因子となります。ゴミ屋敷などの訳あり物件も地域の安全を脅かします。今後は減少傾向になると予測されていますが、集合住宅内のゴミ部屋は逆に増加すると予測されています。いずれにしても不動産オーナーには、保有する物件を適切に管理することが求められます。放置せずに賃貸する、売却する、取り壊して土地を再利用することは、地域の安全や未来を作るうえでオーナーに課せられた責任だといえるでしょう。